一般社団法人 不動産ビジネス専門家協会

明日の不動産ビジネスを切り拓く 不動産ビジネス専門家協会

平成27年度 問8

同時履行の抗弁権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはいくつあるか。


ア マンションの賃貸借契約終了に伴う賃貸人の敷金返還債務と、賃借人の明渡債務は、特別の約定のない限り、同時履行の関係に立つ。


イ マンションの売買契約がマンション引渡し後に債務不履行を理由に解除された場合、契約は遡及的に消滅するため、売主の代金返還債務と、買主の目的物返還債務は、同時履行の関係に立たない。


ウ マンションの売買契約に基づく買主の売買代金支払債務と、売主の所有権移転登記に協力する債務は、特別の事情のない限り、同時履行の関係に立つ。


1 一つ

2 二つ

3 三つ

4 なし

解説

正解 1

 

ア 誤り。家屋の賃貸借終了に伴う賃借人の家屋明渡債務と賃貸人の敷金返還債務とは、特別の約定のないかぎり、同時履行の関係に立たない(最高裁判決昭和49年9月2日)。

 

イ 誤り。売買契約が解除された場合において、売主の代金返還義務と買主の目的物返還債務とは同時履行の関係に立つ(民法第546条)。

 

【民法】

(同時履行の抗弁)

第533条  双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。


【民法】

(解除の効果)

第545条  当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う。ただし、第三者の権利を害することはできない。

2  前項本文の場合において、金銭を返還するときは、その受領の時から利息を付さなければならない。

3  解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない。


【民法】

(契約の解除と同時履行) 

第546条  第533条の規定は、前条の場合について準用する。

 

ウ 正しい。買主の売買代金支払債務と、売主の所有権移転登記に協力する債務とは、同時履行の関係に立つ。

 

よって、正しいのはウの一つだけである。