一般社団法人 不動産ビジネス専門家協会

明日の不動産ビジネスを切り拓く 不動産ビジネス専門家協会

(鼎談)不動産プレイヤーと専門家とのコラボレーションの実現を目指して

(2017年11月発行/PREB Report Autumn & Winter 2017より転載)

(司会)まず、ご自身が不動産ビジネス専門家協会に入会した、あるいは設立に関わった動機は何でしょうか?

(中沢誠代表理事)住む場所あるいは事業を行う場所として、不動産はあらゆる人・あらゆる企業に必要不可欠なものであり、不動産に関わる問題というのは生活や経営に大きな影響を与えます。しかも、一口に不動産と言っても実に様々なものがあり、経営戦略、法務、税務、財務等、最適解を見出すために検討すべき事柄が複雑に絡み合っています。そんな複雑な問題を自分一人で解決するのは難しいので、様々なプロフェッショナルが仲間としていてくれたらというのが動機です。

 

(塩足昌弘理事)私も協会設立時の発起メンバーの一人ですが、その当時は実はまだ独立開業してはおらず、主に営業・渉外担当として他の司法書士事務所に勤務しておりました。発起メンバーとして協会の立上げに誘われた際には、活動の中で様々な士業や不動産業者の方々との関わりが広がり、その結果として自身の営業活動にもプラスに働けばよいなあ、という思いで参画を決意しました。

 

(皆藤一郎専務理事)自分は不動産事業者(仲介/コンサル)なのですが、士業の方々からその顧客・顧問先の不動産に関係する相続や事業承継、資産運用についての相談や問題解決依頼をいただくことが多く、そのような輪を広げるためには不動産×士業のコラボレーションを標榜する当協会に積極的に係わっていくことが自分のビジネスのためにもなり、また士業の方々が抱える不動産に関する諸問題の解決にお役に立てるのではないかと考えたからです。

 

(司会)不動産ビジネス専門家協会の存在意義・活動趣旨は何だと思いますか?

(皆藤)不動産ビジネスで諸問題を解決し、結果を残すためには不動産のリアルプレイヤーと弁護士をはじめとする各専門分野のプロ・有資格者が密接に協力関係を持って当たることが必要不可欠です。

しかし各士業間でもそうですが、普通に仕事をしているだけでは信頼関係を築ける専門家と出会える機会は少ないと思います。自分も20年以上不動産の仕事に関わっていますが、会社員だった頃は勤務している会社の顧問や指定された士業の方々としか仕事をしたことがありません。相性の問題もありますが相手を選べないのは不便を感じることもあります。当協会が信頼関係を築ける専門家同士の出会いの場となり、多岐にわたる不動産ビジネス・不動産問題の解決のために登録専門家メンバー間で協業し、完結できる集団になれれば良いと思っています。

 

(中沢)私も皆藤さんの意見とほぼ同じです。不動産事業者と専門家、あるいは不動産事業者どうし、専門家どうしの協業によって、それぞれの顧客にとって最良のソリューションを提供することができるのではないかと考えています。

もちろん、単に人を集めるだけでコラボレーションが生まれるわけではなく、協業のベースには「信頼関係」が必要です。当協会の活動を通じて、さまざまな不動産事業者・専門家と出会い、交流を深めて頂く中で、互いの信頼関係が醸成されることを期待しています。

 

 

(塩足)そうですね。世の中に士業や不動産業者の交流を目的とした団体は他にも数多く存在するかと思いますが、そのような中にあって当協会の特色としては、「自分さえ儲かれば良い」という利己的なものではなく、協会のイベントや勉強会を通じて関わった人たちが互いにビジネスの相談を持ちかけ、その中で信頼できる仲間を培っていく、というある種「利他的な思い」を持った人たちが集う場所であることを目指していきたいですね。

 

(司会)これまでの成果としてはどのようなものがありますか?

(皆藤)入会して早々に理事の役目を拝命することになり、主に外部集客のイベントの企画運営を担当してきました。登録専門家に講師になっていただき、専門家向け・エンドのお客様向けのセミナーを開催したり、不動産のプロと各士業、不動産関連事業の専門家が出会う機会創出と協会の登録メンバー拡大のために年2回の交流会を開催してきました。セミナーには20~50名くらい、交流会には80名くらいの参加をいただいています。過去の交流会での出会いがきっかけでお仕事の依頼があったケースもあるようです。

 

(塩足)現在協会内で、相続や事業承継をテーマとしたワーキンググループを組織しています。このワーキンググループのメンバーでこれまでに雑誌への寄稿やパネルディスカッション、小冊子の発行などを手掛けてきました。そういった活動の中で、メンバーの一人から他のメンバーに対して実際にお仕事の紹介につながったというケースもあります。

 

(中沢)当協会の認知度が高まるにつれ、協会のホームページ等を通じて取材や執筆の依頼、講演等の依頼が増えています。協会経由の依頼がきっかけでセミナー講師として登壇され、そのセミナーを受講された方から仕事の依頼があったというケースもありましたので、これも成果の一つと言っても良いかもしれませんね。

 

(司会)登録専門家として入会するメリットは何でしょうか?

(皆藤)ズバリ自分の持っていない専門スキルと知識と資格を持った専門家と「トモダチ」になれることです(笑)。

 

(塩足)当協会では毎月、定期的な勉強会を開催しており、各方面の皆様に、専門家ならではの独自の視点やテーマで講演をして頂いています。この勉強会は、登録専門家であれば無料で聴講できるという点が大きいかと思います。また、交流会などを通じて親しくなった方との間でビジネスの輪が広がっていく、という点は非常に大きいかと思います。

 

(司会)登録専門家どうしのコラボレーションについてどのような実例がありますか?

(塩足)共に理事として参画しているメンバー相互の間で仕事の相談が徐々に生じてきましたが、その中には登記業務など私自身がご依頼を頂いたものもいくつもあります。また、交流会で知り合った士業の方々の中で特に親しくなり、互いにお仕事の紹介をし合う関係に至った方も何人もいらっしゃいます。

 

(皆藤)ほかにも、同じ不動産事業者のメンバーと不動産売買の共同仲介をしたり、M&A・事業再生に係る大型不動産案件の取引サポートを行わせていただいたりなどの実績があります。

 

(司会)今後不動産プレイヤーや専門家に求められることは何でしょうか?

(皆藤)不動産プレイヤーも含め「専門家」には「専門外」のことが当然あります。各自の努力で勉強して専門外のことを少なくすることも大切ですが、専門外のことを補い合える信頼関係を持った仲間を増やすことが大事なのではないかと思います。それが結果的にクライアントの利益にもつながると考えます。

 

(塩足)今後、国内の人口減少や建物の供給過多などを契機として、不動産市場は徐々に縮小していく可能性がありますが、そのような中においても士業や不動産プレイヤーが生き残るためには、顧客のニーズに応えるために、高度な専門性とサービス業者としてのホスピタリティを兼ね備えていることが求められるのではないか、と思います。

 

(中沢)AI(人工知能)の発達により、これまで人間がやってきた仕事の多くが自動化されると言われています。不動産ビジネスや士業等の専門家によるサービスも例外ではなく、情報マッチングや知識の量ではコンピュータに勝てるはずもありません。「人が介在することで何らかの付加価値を生み出す」ことを目指していかない限り、この厳しい世界を生き残れないのではないでしょうか。

 

(司会)不動産ビジネス専門家協会の今の課題は何でしょうか?

(塩足)徐々に協会に関わって下さる方の数は増えてきましたが、協会内での個々のメンバー間のつながりに基づく、ビジネスとしての成約実績は、まだまだ発展途上だと思います。これらをいかに増やしていけるか、という点が当協会における喫緊の課題だと考えています。

 

(中沢)不動産ビジネスといっても色々な切り口がありますし、同じ士業でも専門分野が細かく分かれています。現在登録頂いている方々もバラエティに富んでいますが、それでもカバーできていない分野がたくさんあります。やみくもに人数を増やそうということではないですが、様々な実務家・専門家に参画して頂けるよう働きかけを続ける必要があると思っています。

 

(皆藤)専門家どうしが自らの専門外のことを補い合えるようになるためには信頼関係の構築が必須です。そのためには口を開けて待っているだけではダメなので、自ら先に相手方に対して貢献するという姿勢が大事だと思います。協会の登録専門家のメンバーが積極的に運営やイベントに参加したい、他のメンバーの役に立ちたいと思える土台づくりが課題かと思います。

 

(司会)最後に不動産ビジネス専門家協会の今後の展開、目標をお聞かせください。

(皆藤)専門家どうしが専門外のことを補い合えることを協会の登録専門家メンバー内で完結できるようになるためには一定数の人数的規模が必要なため、当面は専門家登録数の拡大は必要です。協会組織の成長・熟成と同時並行的に内部での信頼・協力関係の構築だけでなく、外部の方々や社会への貢献ということを目指していきたいと思います。

(塩足)繰り返しになりますが、当協会のイベント等の活動への参加を通じて、現に関わって下さっている一人でも多くの方が、信頼関係を共に構築していく中で、知識的なものに留まらず、収益的にも共に潤っていける、そんな組織に向けて成長していくことが必要だと思いますし、私もメンバーの一人として取り組んでいきたいと思います。

(中沢)当協会は、公益法人でもNPO法人でもなく、あくまでもビジネスのための団体です。しかし、ビジネスと社会問題の解決は決して両立しえないものではなく、ビジネスの推進によって社会に貢献できることがあるはずです。様々な知見を有する専門家とアイディア豊富な実務家が集まっている当協会にはそのポテンシャルがありますので、そういった取り組みをしていけたらと思っております。