人口減少・少子高齢化が加速し、新築住宅をたくさん作って売れる時代ではなくなりつつあります。
こうした中、既存住宅流通市場の拡大が期待されるところですが、消費者が住宅の質を把握しづらい状況にあることも一因として、流通量がなかなか増えていません。
先頃発表された宅地建物取引業法の改正案では、既存の建物の取引における情報提供の充実を図るため、宅地建物取引業者に対し、以下の事項を義務付けることとしています。
(1)媒介契約の締結時に建物状況調査(いわゆるインスペクション)を実施する者のあっせんに関する事項を記載した書面の依頼者への交付
(2)買主等に対して建物状況調査の結果の概要等を重要事項として説明
(3)売買等の契約の成立時に建物の状況について当事者の双方が確認した事項を記載した書面の交付
建物状況調査が普及すれば、買い手にとって安心材料が増えるわけですので、既存住宅の購入に対する抵抗感が薄まることが期待できます。
しかし、調査費用の負担や、調査によって欠陥・不具合等が判明した場合に売れにくくなってしまう懸念がある等、売主が建物状況調査を行うことに対して躊躇してしまうことも予想されます。
今後どれだけ建物状況調査が普及していくかは未知数ですが、動向を注目していきたいと思います。